硝子のハンマー読んだ

 貴志祐介の作品は全部ではないがそれなりに読んでいる、『新世界より』、『青の炎』が圧倒的2TOP、一時期とてもハマった。悪の教典』あたりで少し離れてしまったが……

 貴志祐介の作品の魅力は著者の綿密な取材による知識と明快な文章によって、作品の幅増やし深みを与えているところだと思った。本作でいうと、防犯関連、ガラス、介護ロボットなどの本作の鍵にあたるものから、睡眠薬に至るまで細かいことも省略せずにちゃんと書いていて、さすがやなと思った。睡眠薬一つにしても、普通の小説なら、ネットで手に入れたなどと言って端折りそうなところを、貴志祐介は細部まで描写している。その道のことをよく知らない読者にとっては、推理小説にでてくる細かい知識は、読者が置いてけぼりになり、つまらないという印象を与えることが少なくないが、貴志祐介の場合、推理に説得力が増され、さらにその過程も面白い。

 本作は犯人側の視点のときのほうが面白い、やっぱり貴志祐介には、一生『青の炎』みたいな倒述ものを書いてほしい、なんて思った。

 総合的な評価としては、普通の小説として考えれば面白いけど、貴志祐介の作品として考えたらあんまり面白くないってところかな。

 浅い感想だけど、読んだの2周間前なので許してほしい……最近わりと大学が忙しくなってきたので