『人類は衰退しました』読み直した

1巻から9巻&短編集まで含めて、一気に読み直したので、一気に書く。ネタバレはないと思う。

 

【一巻】
大枠より細部に注目して読んでいることに気づいた。複線かなりあるなーっていうのと、情景描写しっかり入れてるなぁーっていうのと、語り口巧妙だなぁと
【二巻】
視点について。視点ぐちゃぐちゃだけど小説の中でもそういうの全く気にしないジャンルと言っても過言じゃないラノベ出しまぁありなのかなと
文章の書き方はTwitterのほうがうまくね?と思うことが多々ある。まぁ量の問題だろうけど。
難しいというか、お硬い文章を書こうとしてるとき、もう少しうまくできそうと思うことがちらほら
案はすごく好き、物語の落ちまで含めた本流は小型化もタイムパラドクスも好き。ただ細部は少し冗長でしつこさが残った
【3巻】
長い話。割と面白い。どこがと聞かれても答えようがない。強いて言うなら語り口調。最初はむしろこの形式はどうなと思ったけど、その自由さが物語の雰囲気とマッチして絶妙にほのぼの担ってるのさすがとしか言えない
【4巻】
工場のはなしはそこまで。ただ漂流のはなしは一番好きな話。最後の祖父のオチの付け方まで含めて完璧。アニメだとこの回本当に妖精さんのゆるふわさが出てるし、EDの入り方も神がかってるしサイコーなんだよな
切羽詰まってない漂流っていい。妖精さんのゆるふわと危機的状況というのがミスマッチに見えて絶妙にいい具合を醸し出してるの本当にすごいなぁと思った
【5巻】
1つ目の話。好きだなぁ〜本当に。本当に好きや!!妖精さんあまり出てこないけど。学内の雰囲気の話ももちろん好き!!でも最後頭の中に妖精さんずっと一緒にいたとかロボットの中で妖精さんたちがお茶会やってたみたいな話。泣ける……
2つ目の話。正直イマイチ。まぁ悪くないけどネ。ただ、作者のノリが少し自分と合わなくて、その少しが、作者がノリノリのとき大きな違いとなって出てくるから、ちょっとつまらなく感じてしまう。オチもいまいち。ただ、以前にも書いた、ラノベっていう自由さはふんだんに使っているし、むしろ発展してるくらい
【6巻】
薄い。おまけにけっこう時間も開いてたみたい。内容の方は相変わらず。前半がドラえもんで後半はよく分からないやつ。今回はまぁ大筋はいつもと同じだけど、少し安直でひねりがない。最後のオチもブラックな感じも薄め。同類誌の方は少しクスッとはしたがまぁ……といった感じ。薄いしすぐ読み終わってしまう
【7巻】
前半。里で学校つくる話。まぁ悪くはない。一巻では考えられないほど「わたし」がコミュ力と対人交渉力持っててワロタ。成長しまくりやん。一周目読んだのかなり昔だから覚えてないけど、これ物語の本筋というか、ラストのとこにつながるような話?「衰退中なんか知ったことじゃない!こっちはまだ子どもなんだ!これから生きていかないといけないのに、ぜんぶ終わったみたいに言うな!」これは印象的なセリフ
書き起こして思ったけど、ひらがな多く使ってるの文体優しくして、軽い雰囲気にするのに効果覿面だな
そして、だからこんなにスラスラと読めてしまうのかも
後半。中々面白いストーリーかなと。ただ細部が少し気になる。今にもまして、ネタの内容が適当に、そして時系列的ネタが現代的視点を逸脱できていないことが非常に気なってしまった
叙述も面白い試みだとは思った
【8巻】
アニメ化でペンが乗ってるのか、知らないけどキャラのブレというか、今までのキャラとの違和感がある。今までは超えてはいけない一線超えてないし、最低限モラルがあったから、このほんわかした雰囲気のなかでキャラクターを好きになれたのに、今回は「わたし」ふくめてなんだか好きになれない。
「わたし」の考え保守的すぎて……作者の考えが投影されてたり、もしくは自分がモデルの一部になってたりすることは想像できるけど、そこに微妙に好きになれない要素があって駄目
設定がハッキリしてない(世界観がゆるふわ)だから、「わたし」の考えが2010年代の人間と同じ視点っていうのは当然だしsfじゃないからそこに厳密性を求めるのはナンセンスだけど……やっぱり気になっちゃうものはしょうがない
男の描く女性の限界をそこはかとなく、そんなに頻繁じゃないけど、ごくたまに、それこそ一冊で数回程度だけど感じてしまう。でもそれが回り回ってなんだかなぁ〜が蓄積されていく
ただ、話は面白い。今回はいつもと毛色変わって、大筋のストーリでガッツリ文庫一冊分長編出してきたなといった感じ。いつもは細部とオチで読ませに来てたが、今回は正直細部はイマイチ、オチも特にない。けどクライマックスはあるし、ビーズもつながるし、一つの映画を見終わったようなスーっとした感覚が残る。悪くない。
赤ちゃん出産って、物語のクライマックスと相性いいよな。さていよいよ次が最終巻。今回もなかなか最後のオチへの伏線マシマシ巻でいいね!!
【9巻】
面白かった。最後のどんでん返しは一回目ほど衝撃的ではないにしても、やはりそれなりのインパクトはある。
うん。面白かった。まぁそんなところ。最終巻だけどカタルシスはあんまりない。
【短編】

こっちが、真の最終巻。

最後の話を読み終わったあとのカタルシスといったらもうね。物語上の世界の雰囲気とマッチして寂しさはあるけど、希望とそれから明るい未来をともに感じるようなエンド。最高。過疎&子供っていう構造は前の話にもあったけど、寂しさがいい感じに機能すると思う。
好きだなぁ……本当に好きだ。雰囲気最高だ。もう好き好き。この感覚久しぶりだなぁ……この胸にぽっかり穴が空いたような空虚感
最終回完璧すぎねえ……続きほしい。永遠にやってほしい。飽きるまで。
本当に面白いし、読みやすいし、ほっこり雰囲気も最高!!
これまでの巻みたいにガッツリ出来事もいいんだけど、短編もやっぱりちょいちょい出してほしいよな。だってそういうのがすごい合う作品だもんなぁ。まぁもう出ないだろうけど……

文句なしに一番好きなラノベ。(ラノベあんまり読んでないけど)